鼻は、呼吸やにおいを感じるだけでなく、空気中の異物やウイルスから体を守る重要な器官です。鼻の粘膜や副鼻腔は、呼吸を快適に保つために常に働いています。鼻づまり、鼻水、くしゃみ、鼻血、においが分かりにくいといった症状は日常的によく見られますが、症状が長引く場合や繰り返す場合には、治療が必要な病気が隠れていることがあります。
鼻の病気には、アレルギーによるもの、感染によるもの、鼻の構造が関係するものなど、原因や治療法が異なるさまざまな種類があります。

 【症状で探す】あなたの鼻の不調

🔴 早めの受診をおすすめする症状

  • 激しい顔や鼻の痛みを伴う鼻づまり(特に片側が強い)
  • 黄色・緑色の鼻水が続き、悪臭がする
  • 発熱や全身のだるさを伴う鼻症状
  • 1週間以上続く鼻づまり・鼻水
  • においが急にわからなくなった
  • 頻繁な鼻血、止まりにくい鼻血
  • 片方だけの強い鼻づまりや、左右交互に繰り返す鼻づまり
  • 頬や額に圧迫感、頭痛が続く

🟡 よくある症状

  • 透明な鼻水・くしゃみが続く
  • なんとなく鼻が詰まっている感じがある
  • 気温や季節で症状が変動する(例:花粉・乾燥期)
  • 鼻のムズムズ感・かゆみ
  • 軽い鼻づまり・鼻汁がのどに回る

 鼻の構造と関連する病気

鼻は大きく分けて外から見える 外鼻(がいび)、そして内側に広がる 鼻腔(びくう)副鼻腔(ふくびくう) という空洞で構成されています。
鼻腔は空気の通り道で、粘膜と細かな毛(繊毛)がホコリやウイルスを捕らえて体内への侵入を防いでいます。副鼻腔は鼻腔の周囲にある空洞で、頭の軽さを保ったり、声の響きを助けたり、粘液を分泌して鼻腔を潤す役割があります。
鼻や副鼻腔の粘膜は外気の温度や湿度、アレルギー反応、細菌やウイルス感染の影響を受けやすく、これがさまざまな病気の原因になります。

部位よくある病気例
外鼻・鼻中隔鼻前庭炎、鼻中隔湾曲症、鼻出血、外傷
鼻腔アレルギー性鼻炎、急性鼻炎・慢性鼻炎、鼻ポリープ
副鼻腔急性副鼻腔炎、慢性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎

 検査

問診と診察で症状の背景を確認したうえで、状態に応じた検査を行います。

  • 内視鏡検査:細い内視鏡を鼻から挿入して、鼻腔や副鼻腔の粘膜、ポリープ(鼻茸)、膿や腫れの有無を直接観察します
  • アレルギー検査:アレルギー性鼻炎が疑われる場合、血液検査で、特定のアレルゲン(花粉・ハウスダストなど)に対する反応を調べます
  • 画像検査:副鼻腔CT(副鼻腔の形態や粘膜の腫れ、膿のたまり具合、鼻中隔の変形、腫瘍の有無などの評価)
    ※必要なときは、他施設に検査依頼をします

 外鼻・鼻中隔・鼻腔の病気

• 鼻出血

鼻出血は、鼻の中の粘膜や血管が傷つくことで起こります。
特に鼻の入口付近には細かい血管が集中しており、乾燥や刺激に弱い部位です。
くしゃみ、鼻をかむ、指で触るなどの軽い刺激でも出血することがあり、多くは一時的で自然に止まります。
一方で、出血を繰り返す場合や、なかなか止まらない場合には注意が必要です。

主な原因

  • 空気の乾燥(冬場・エアコン使用時)
  • 鼻を強くかんだり、鼻を触る習慣
  • アレルギー性鼻炎や鼻炎による粘膜の炎症
  • 風邪や副鼻腔炎
  • 外傷(打撲・スポーツ)
  • 加齢による血管のもろさ
  • 高血圧、血液をサラサラにする薬の影響

出血部位が確認できる場合は、止血処置を行います。
炎症や乾燥が原因の場合は、塗り薬や点鼻薬、生活上の注意で再発を防ぎます。
※鼻血が出たときは、慌てずに少し前かがみになり、鼻を軽くつまえて圧迫してください。

• 鼻前庭炎

鼻前庭炎は、鼻の入口付近(鼻の穴の中)に起こる炎症です。
この部分は皮膚に近い構造をしており、外からの刺激や細菌の影響を受けやすい場所です。
鼻を触る、強くかむ、頻繁に鼻をかむといった刺激により、皮膚に小さな傷ができ、そこから細菌が入り炎症を起こすことで発症します。

主な症状

  • 鼻の入口の痛み、ヒリヒリ感
  • 押すと痛む、違和感がある
  • 赤く腫れる、かさぶたができる
  • 黄色い分泌物が出る
  • 軽い鼻血を伴うことがある

治療は、原因となる刺激を避けることと、軟膏などの外用薬を用いるのが基本です。
炎症が強い場合や細菌感染が疑われる場合には、抗菌薬を使用することもあります。

• 鼻中隔湾曲症

鼻中隔弯曲症とは、左右の鼻の穴を仕切っている壁(鼻中隔)が曲がっている状態を指します。
多くの場合、成長過程で自然に起こるもので、誰にでも多少の曲がりはあります
曲がりが強い場合には、空気の通りが悪くなり、さまざまな鼻の症状の原因となることがあります。

主な症状

  • 片側の鼻づまりが続く
  • 左右で鼻の通りに差がある
  • 風邪をひくと鼻づまりが強くなる・長引く
  • 鼻血が出やすい
  • 鼻の乾燥感、違和感

症状が軽い場合は、点鼻薬などで粘膜の腫れを抑えることで、症状が改善することがあります。
鼻づまりが強く、日常生活に支障が出ている場合や、副鼻腔炎を繰り返す場合には、手術による治療が検討されることもあります。

• 鼻腔ポリープ(鼻茸 はなたけ)

鼻腔ポリープとは、鼻の中の粘膜が慢性的な炎症によって腫れてできた、やわらかいできものです。
多くの場合、痛みはなく、気づかないうちに大きくなることがあります。
ポリープが大きくなると、鼻の空気の通りや副鼻腔からの排泄を妨げ、さまざまな症状の原因になります。

主な症状

  • 鼻づまりが続く、悪化する
  • においが分かりにくい、感じにくい
  • 鼻水がのどに回る(後鼻漏)
  • 口呼吸が増える
  • いびきをかきやすくなる

治療は、炎症を抑えることが基本です。薬で改善しない場合には、手術を検討することがあります。

 副鼻腔の病気

• 急性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎は、鼻の周囲にある空洞(副鼻腔)に、細菌やウイルスの感染によって急性の炎症が起こる病気です。
いわゆる「蓄膿症」の初期段階にあたります。多くは風邪をきっかけに発症し、鼻の中の炎症が副鼻腔へ広がることで起こります。

主な症状

  • 黄色や緑色の鼻水が出る
  • 鼻づまりが強くなる
  • 頬や目の周囲、額の痛み・重だるさ
  • 頭痛
  • においが分かりにくくなる
  • 発熱や全身のだるさを伴うことがある

多くの場合、薬による治療が中心となります。鼻洗浄も有効です。急性副鼻腔炎は、早期に治療を行えば慢性化を防ぐことができます。

• 慢性副鼻腔炎

慢性副鼻腔炎とは、副鼻腔の炎症が3か月以上続いている状態を指します。
急性副鼻腔炎が十分に治りきらなかった場合や、鼻の通りが悪い状態が続くことで、炎症が慢性化します。
炎症が長期間続くことで粘膜が厚くなり、膿がたまりやすく、症状が改善しにくくなります。

主な症状

  • 鼻づまりが長く続く
  • 鼻水がのどに流れる(後鼻漏)
  • 黄色〜白っぽい鼻水が続く
  • においが分かりにくい
  • 頭が重い、集中しにくい
  • 風邪をひくと症状が悪化しやすい

慢性副鼻腔炎の治療は、炎症を抑え、膿の排泄を改善することが目的です。薬で十分な改善が得られない場合や、生活に支障が大きい場合には、手術による治療が検討されることもあります。

 アレルギー性鼻炎・花粉症

アレルギー性鼻炎は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンに対して、鼻の粘膜が過剰に反応して起こる病気です。
非常に身近な病気ですが、症状が続くと日常生活の質を大きく下げることがあります。
季節によって症状が出る「季節性(花粉症)」と、年間を通して症状が続く「通年性」があります。

主な症状

  • 透明で水のような鼻水
  • くしゃみが続く
  • 鼻づまり
  • 鼻のかゆみ
  • 目のかゆみや涙目を伴うことがある

原因

  • 花粉(スギ・ヒノキなど)
  • ハウスダスト・ダニ
  • 動物の毛やフケ
  • カビ

アレルギー性鼻炎の治療は、症状のコントロールと再発予防が目的です。症状や重症度に応じて、内服薬や点鼻薬を組み合わせます。生理食塩水を用いた鼻洗浄も有効です。必要に応じて、舌下免疫療法を検討することもあります。

 においの異常(嗅覚障害)

嗅覚障害とは、においが分かりにくくなる、または感じなくなる状態を指します。
軽い変化から、全くにおいを感じなくなる場合まで、程度には個人差があります。
嗅覚は生活の質だけでなく、ガス漏れや焦げのにおいに気づくための安全面でも重要な感覚です。

主な症状

  • においが弱く感じる、何もにおわない
  • 特定のにおいが分かりにくい
  • においの感じ方がおかしい(違うにおいに感じる)
  • 食事の味が分かりにくくなった

原因

  • 風邪や感染症(インフルエンザや新型コロナ)の後
  • 副鼻腔炎や鼻腔ポリープによる通気障害
  • アレルギー性鼻炎による粘膜の腫れ
  • 加齢
  • 頭部外傷
  • 一部の薬の影響

内視鏡検査や画像検査を行い、においの通り道に問題がないかを評価します。
嗅覚の神経細胞は再生能をもつことが知られており、一定の回復が期待できる場合もありますが、根気強く向き合う必要があります。状態に応じて、嗅覚リハビリを行うこともあります。

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