EUSTACHIAN TUBE DYSFUNCTION
耳管機能障害
耳管狭窄症・耳管開放症
耳が詰まる。でも、原因は一つではありません。
耳と鼻の奥をつなぐ「耳管」が開きにくい場合と、反対に開いたままになる場合があります。似た症状でも治療は異なるため、耳・聴力・鼻から上咽頭まで確認して見分けることが大切です。
ABOUT
耳管は、耳の圧力を調整する通り道です
耳管は、中耳と鼻の奥にある上咽頭をつなぐ細い管です。普段は閉じており、飲み込む・あくびをするなどの動作で一時的に開きます。
- 中耳と外気の圧力をそろえる
- 中耳の分泌物を鼻側へ排出する
- 鼻やのどから音・病原体が入るのを防ぐ
この「必要なときだけ開く」仕組みが崩れた状態を、耳管機能障害といいます。
COMPARISON
「閉じすぎる」と「開きすぎる」では治療が逆になります
開きにくい
耳管狭窄症
中耳の圧力調整がうまくできない状態
- 耳が詰まる・圧迫される
- 音がこもる、聞こえにくい
- 飛行機や山道で悪化しやすい
- 耳抜きで一時的に軽くなることがある
長引くと鼓膜が内側へへこんだり、滲出性中耳炎につながったりすることがあります。
開いたまま
耳管開放症
自分の声や呼吸音が中耳へ伝わりやすい状態
- 自分の声が大きく響く
- 自分の呼吸音が耳に聞こえる
- 耳が詰まる、鼓膜が動く感じ
- 横になる・頭を下げると軽くなることがある
立位、運動、脱水で悪化しやすく、症状が診察時には消えていることもあります。
狭窄症には有効な場合がある一方、開放症では症状や中耳の状態を悪化させることがあります。
CAUSES
耳管機能が乱れる主な原因
炎症や構造によって開きにくくなる
- かぜ、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎
- 上咽頭炎、アデノイド肥大
- 飛行機・ダイビングなどの急な気圧変化
- 鼻咽腔の腫瘤など
耳管周囲の組織や圧の変化で閉じにくくなる
- 急な体重減少、やせ
- 脱水、運動、妊娠
- 加齢、ホルモンや薬剤の影響
- 原因がはっきりしない場合
成人で片側だけの耳管狭窄や滲出性中耳炎が続く場合は、鼻咽腔に原因がないか内視鏡で確認することが重要です。
EXAMINATION
症状だけで決めつけず、耳と鼻の奥を調べます
問診
自声強聴・呼吸音、姿勢や運動との関係、発症時期、体重変化、鼻症状などを確認します。
鼓膜の診察
鼓膜の陥凹、滲出液の有無、呼吸に伴う鼓膜の動きなどを観察します。
聴力検査
聞こえの程度と難聴の種類を調べ、突発性難聴など別の病気を見落とさないようにします。
ティンパノメトリー
鼓膜の動きや中耳圧を測り、陰圧や滲出性中耳炎の有無を評価します。
鼻咽腔内視鏡
鼻炎・副鼻腔炎、上咽頭炎、耳管咽頭口、アデノイドや腫瘤の有無を確認します。
必要に応じた専門検査
当院では耳管機能検査は行っていません。診断が難しい場合は、耳管機能検査などが可能な専門医療機関へご紹介します。
TREATMENT
タイプと原因に合わせて治療します
耳管狭窄症開きにくさへの治療
- 鼻・副鼻腔の治療:鼻炎、副鼻腔炎、感染など原因となる炎症を整えます。
- 耳管通気:当院で行っています。鼓膜や中耳の状態を確認し、適応を選んで鼻側から耳管へ空気を送ります。
- 自己通気:適している方には、ご自宅で行う方法と注意点をご案内します。
- 中耳への治療:滲出性中耳炎や鼓膜の変化がある場合は、鼓膜切開や換気チューブを検討します。
- 難治例:状態により耳管拡張術などを行う専門医療機関へご紹介します。
耳管開放症閉じにくさへの治療
- 生活調整:十分な水分、過度な減量の見直し、症状時に横になる・頭を下げるなどを案内します。
- 保存的治療:生理食塩水の点鼻や漢方薬などを症状と体質に応じて検討します。
- 鼻すすりを避ける:一時的に楽でも、鼓膜の陥凹や中耳炎につながることがあります。
- 難治例:鼓膜への処置や耳管ピン手術などについて、専門医療機関へご紹介します。
OUR APPROACH
EAT(Bスポット療法)と漢方薬の位置づけ
EAT / B-SPOT
上咽頭炎を伴う場合の補助的な選択肢
耳管の鼻側の出口は上咽頭にあります。当院では、内視鏡で慢性上咽頭炎を認め、耳管咽頭口周囲の炎症が症状に関係していると考えられる場合に、EAT(上咽頭擦過療法)をご提案することがあります。
EATは耳管機能障害に対する標準治療として確立したものではなく、効果には個人差があります。特に耳管開放症へ一律に行う治療ではありません。耳・聴力・鼓膜・鼻咽腔を評価し、適応を慎重に判断します。
KAMPO MEDICINE
症状と体質をみて漢方薬を選びます
耳管開放症では、保存的治療の一つとして加味帰脾湯や補中益気湯などを検討することがあります。ただし、同じ病名でも体格、疲労、食欲、睡眠、冷え、精神的な緊張などは一人ひとり異なります。
漢方薬だけで経過をみるのではなく、体重減少や脱水などの背景を整え、効果を一定期間で評価します。甘草を含む処方の重複や偽アルドステロン症などの副作用にも注意します。
漢方薬を一律に使用するのではなく、まず鼻炎・副鼻腔炎、上咽頭炎、中耳の状態など、狭窄の原因に対する治療を優先します。
FOLLOW-UP
効かない治療を漫然と続けません
耳管機能障害は症状が変動しやすく、複数の病気が重なることもあります。治療後は症状だけでなく、聴力、鼓膜、中耳圧、鼻咽腔所見を必要に応じて再評価します。
- 急な、または進行する難聴
- 片側だけの症状が長く続く
- 滲出性中耳炎や鼓膜陥凹が進む
- 保存的治療で生活への支障が改善しない
このような場合は、画像検査や専門的な耳管機能検査、手術を含めた治療が可能な医療機関へご紹介します。
FAQ
よくある質問
Q耳管狭窄症と耳管開放症は、自分で見分けられますか?
自分の声や呼吸音が響き、横になると軽くなる場合は開放症を疑いますが、症状だけで確定はできません。耳垢、中耳炎、突発性難聴などでも似た症状が出るため、診察と聴力検査が必要です。
Q耳抜きを何度もしてもよいですか?
強い耳抜きを繰り返すと耳を傷める可能性があります。また、耳管開放症には適さないことがあります。まず原因を確認し、自己通気が適切な場合のみ方法をご案内します。
QEATをすれば耳の詰まりは治りますか?
EATですべての耳閉感や耳管機能障害が改善するわけではありません。上咽頭炎を伴い、その炎症が関係していると判断した場合の補助的治療です。突発性難聴や中耳炎など、別の原因を先に除外します。
Q漢方薬はどのくらいで効果を判断しますか?
症状、処方、経過によって異なります。漫然と継続せず、数週間を一つの目安に症状と副作用を確認し、継続・変更・中止を判断します。
Q飛行機に乗る予定があります。相談できますか?
できます。鼻炎や中耳の状態、過去の気圧外傷を確認し、搭乗時の対策をご案内します。強い鼻かぜや中耳炎がある場合は、予定の見直しが必要なこともあります。
耳の詰まりや声の響きが続く方へ










